腸内pHバランス

更新日:8月27日

pH(ペーハー)とは、水溶液の性質を表す単位の一つで、溶液中の水素イオンの濃度を表します。pHの値は通常1~14とされ、pH7を中性とし、これより低い方を酸性、高い方をアルカリ性(または塩基性)と言います。

腸内には多彩な細菌群がバランスを保ち共存しています。そのため、腸内のpHバランスが変わることで、腸内常在菌のバランスにも大きな影響を及ぼします。


腸内フローラ(腸内細菌叢)を形成している常在菌は、一般的に、善玉菌、悪玉菌、日和見菌と言われます。

良い腸内環境とは、腸内常在菌が多様であり、且つ常在菌のうち善玉菌が優勢な環境を指します。多様な腸内フローラは、幼少期からの偏食のない、多様な食習慣や、様々な細菌との接触から生まれることが分かっています。*(1)(2)

善玉菌が優勢な状態の腸内環境は、腸内pHバランスを(弱)酸性に傾ける食習慣により育むことができます。


これは、悪玉菌は酸性を嫌い、アルカリ性を好む性質を持ち、反対に善玉菌はアルカリ性を嫌い、酸性を好む性質があるためです。


ちなみに、乳幼児の大便は、腸内pHバランスが5.0~5.5程度で、黄色がかった酸性がやや強いのが特徴です。これは、乳幼児の腸内が、酸性を好むビフィズス菌が優勢となり、外来性病原菌の定着あるいは増殖を防ぐ役割がある*(3)と考えられ、この状態は、離乳期まで続きます。


離乳食の摂取が始まると、腸内フローラの構成は大きく変わります。食事内容が大人と同じようになる 3 歳頃には,腸内pHバランスも6.0~5.5と、大人とほぼ同じになります。*(4)


特定の食事は、特定の腸内常在菌の増殖を促進し、人間(宿主)の発酵代謝を変化させ、腸内pHに直接影響を与え、そして、病原性細菌叢の発生の原因となる可能性も示唆されています。


そのためにも腸内pHバランスを弱酸性に保つ食習慣などが重要になります。


日本人は、古くから難消化性(非消化性)炭水化物などのルミナコイドを多く摂取してきており、また、飽和脂肪酸の少なく、EPA・DHAなどのオメガ3系不飽和脂肪酸を豊富に含む魚も食べてきました。これらは、腸内pHバランスを弱酸性に整える要因であり、日本人の腸内フローラの多様性を支えてきた一因と言えます。



出典:

*(1)"The intestinal microbiome in early life:health and disease." Front Immunol.5: 427(2014)

*(2)"The role of diet on gut microbiota composition”Eur Rev Med Pharmacol Sci . 2016 Nov;20(22):4742-9.

*(3)「特集:腸内菌叢はコントロールできるか? 新生児・乳児期の腸内細菌叢とその形成因子 」腸内細菌学雑誌33:15-25(2019)

*(4)"Development of functional foods. BiosciMicrobiota Food Health." 33:117–128(2014)